ソーシャルスキルとは

ソーシャルスキルとは、他者と効果的にコミュニケーションを取り、良好な関係を築くためのスキルを指します。狭義には相手に対する言語的・非言語的な行動を指しますが、そのような行動を可能にしている感情のコントロールや注意力や理解力など幅広いものを含む場合もあります。

ソーシャルスキルが欠如すると

ソーシャルスキルの観点で考えると、コミュニケーションに悩みを抱える人は以下のような背景でソーシャルスキルが欠如していると分類されます。

・ソーシャルスキルを学べるような人に生活の中で接する機会が十分になかった

 (例)緊張しやすく引っ込み事案だったため、いまも他の人にどのように声を掛けたらよいか分からない

・ソーシャルスキルを実践する機会が十分になかった

 (例)身近に同じ年齢の子どもがいないため、どう話に加わってよいか分からない

・不適切なソーシャルスキルを習得してしまった

 (例)親がパートナーに家庭内暴力を振るっていたことから、言うことを聞かせるには怒鳴ればよいと誤った理解をしてしまった

引っ込み思案なタイプであれ攻撃的なタイプであれ、ソーシャルスキルが不足していると良いコミュニケーションを取れないため、孤独感や不満、抑うつ感を強く感じることが分かっています。

ソーシャルスキルトレーニング

ソーシャルスキルが欠如しているなら、適切なソーシャルスキルを習得すればよいという見方から、ソーシャルスキルトレーニングがあります。ソーシャルスキルトレーニングでは、「他の人たちが話している場面に声をかけて加わる」など具体的な場面をロールプレイしてどのような行動を取ったらよいか学びます。また、実際に取った行動に対するフィードバックを通じて自信を付けるという効果もあります。

ソーシャルスキルトレーニングは、1960年代頃には、人とやり取りをすることに強い不安を感じる社交不安などの治療として最初は用いられていました。現代では、小学生や神経発達症を持つ人のコミュニケーションの練習、うつ病患者の職場復帰訓練のひとつなど幅広く用いられています。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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