楽観主義とは、悲観主義とは

楽観主義とは物事をポジティブに捉え、将来に対して希望を持ちやすい考え方・性格のことです。一方で悲観主義とは、物事をよりネガティブに捉え、将来に対して不安を抱きやすい考え方・性格のことです。例えば数学の期末テストで客観的に低い得点だった場合、楽観主義者は「今回は悪かったけど、次は良い点が取れるはず」と思うのに対して、悲観主義者は「やっぱり自分は頭が悪いんだ」と思います。

両者の違いのひとつは、出来事の解釈です。先の例の通り、楽観主義者は失敗やトラブルなど望ましくない出来事を「一時的なもの」や「特定の状況によるもの」などと捉えます。一方で悲観主義者はそうした出来事を「永続的なもの」「普遍的なもの」と捉えます。

仕事の成果との関連

楽観主義者は仕事で上手くいった出来事を「自分の頑張りの結果だ」「前もそうだった」と考えるため、仕事に前向きに取り組むことができます。
一方、悲観主義者は仕事で上手くいかなかった出来事を「自分のせいだ」「いつも上手くいかない」と考えて落ち込みます。
こうした解釈の違いは気持ちだけではなく仕事の成果の違いとしても現れることが、アメリカのポジティブ心理学の創始者セリグマン(Seligman M.E.P.)によって証明されました。彼が生命保険会社の営業員を対象に販売成績について調べたところ、2年目の販売成績について、楽観主義な営業員は悲観主義な営業員よりも業績が130%高いという結果が出ています。

利点と欠点、そのバランス

仕事の成果以外にも楽観主義には多くの利点があります。例えばストレスに強い、心身の健康に結びつくことが多い、対人関係が良好であることなどが挙げられます。

しかし、楽観主義にも欠点があります。目の前の問題を一時的な問題であると捉えることは、現実を直視せずリスクを過小評価することにつながることもあるでしょう。

悲観主義はストレスに打たれ弱く、うつ病につながりやすいため、心身の健康にとって望ましくないと考えられることが多いです。
しかし悲観主義にも利点はあります。例えば、リスクを慎重に考えることで、最終的に計画を成功させるということもあります。そのため企業やスポーツチームなどの集団が成功するうえで、楽観主義的な考え方と悲観主義的な考え方の両方のバランスが取れていることが必要と考えられます。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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