緩やかな絆(ウィークタイズ)とは
私たちには様々な絆(人間関係)があります。親子のように血で結ばれた関係や、上司・同
僚のように毎日顔を合わせる関係などは「強い絆(ストロングタイズ)」と呼ばれます。一
方、他県にいる親戚や、挨拶はするけれど細かいことはお互いに分からないような他部署の
従業員など、ともつながりはあります。このような絆がウィークタイズです。直訳すると「
弱い絆」となりますが、弱いという言葉は日本語だと否定的なニュアンスを伴うため、「緩
やかな絆」と訳されることが多くあります。強い絆ほど密接な人間関係ではありませんが、
緩やかな絆にも独自の恩恵があります。
緩やかな絆の提唱者
緩やかな絆は社会学者グラノヴェッター博士によって提唱されました。グラノヴェッター博
士は、ホワイトカラーの従業員を対象に転職する際に役立った情報の入手経路を調査しまし
た。その結果、強い絆ではなく緩やかな絆から得た情報のほうが転職先を見つけるのに役立
つ傾向があることを見出しました。
緩やかな絆のメリット
緩やかな絆のメリットは、新しい価値のある情報を手に入れられることだけではありません
。
・メンタルヘルスの向上
犬の散歩中の知らない方とあいさつを交わすだけでも自分が住んでいる地域になじんでいる
と感じたり、孤独感を和らげることができます。
・気兼ねない会話
家族や職場の上司・同僚ではこれまでの積み重ねられた利害関係があるため、率直な会話が
できないこともあります。その点、緩やかな絆で結ばれた相手とは利害関係がないので気兼
ねない会話ができます。
新規開発やイノベーション推進のために組織横断的なチームが作られたり、異業種から人材
を集めたりすることがあります。これも緩やかな絆の考えを組織に応用させた例と言えるで
しょう。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒