気分循環性障害とは

気分循環性障害とは、気分が高揚したり落ち込んだりする状態が繰り返される精神的な障害です。双極性障害、いわゆる躁うつ病ほど極端ではありませんが、元気で積極的な「軽躁状態」と、気分が沈みがちな「軽度のうつ状態」を繰り返します。ジェットコースターのように気分が変動するため、生活していくうえで困難を抱えることになります。

気分循環性障害の問題

気分循環性障害で見られる症状は「軽度」の躁状態とうつ状態のため、うつ病や躁うつ病と比べて他者から病気であると認識されません。「気分屋な人だ」、「行動に一貫性がない」などと認識されることが多いです。しかし、気分循環性障害の患者さんは以下の苦しみを抱えています。

・ジェットコースターのように変動する気分
今日は調子が良くても、明日はいきなり気分が落ち込むなど、自分の調子を予想できないという苦しみも抱えます。また、一日の中で気分が変わるということもあります。

・疲れやすい
軽度の躁状態のときは気分が高揚しているから、「今なら何でもできる!」と思いやすいです。後で軽度の抑うつ状態になることは分かっていても、つい高揚した気分のまま行動してしまいます。その結果、エネルギーのない状態になったときに一気に疲れが押し寄せ、疲れ切ってしまうことになります。

・安定した成果を出せない
気分が高揚しているときは、意欲的に仕事に取り組むことができます。また、気分が高いと創造性も高まるので、良いアイデアも浮かびやすくなります。しかし、気分が落ち込むと仕事へのモチベーションが湧かなくなり、仕事に取り組むのも億劫になり、成果を出しにくくなります。

気分循環性障害の治療

主に気分循環性障害の治療では心理教育が行われます。軽い躁状態と抑うつ状態に折り合いをつけて生きるにはどうしたらよいか、考えていきます。例えば、気分が高揚しているときは色々予定を入れたくなるものです。そのときにやりたい予定を入れるとともに、「疲れを感じていなかったとしてもしっかり休む」ことも予定に組み入れるなどの工夫が大事になります。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
TOP