感情心理学とは
感情心理学は、どのようなメカニズムで感情が生じるのか、そして生じた感情がどのように行動に影響するのかを研究する心理学の一分野です。
感情が生じるメカニズムの古典的理論として、以下が挙げられます。
・ジェームズ=ランゲ理論
「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」という言葉が感情心理学ではありますが、この理論では身体反応の結果として感情が生じると考えます。
・キャノン=バード理論
ジェームズ=ランゲ理論とは逆で、まず脳中枢で感情反応が生じ、それによって身体反応が生じると考えます。
・シャクター=シンガー理論
この理論では、身体反応に対する状況判断に基づいて感情が生じると考えます。例えば、同じように鼓動が速くなっているとしても、夜に暗い道を歩いている場合は恐怖という感情が起き、昼間に好きな人と話している場合であれば愛情や興奮という感情が起きます。
人格心理学とは
一方、人格心理学は、人々がどのように考え、感じ、行動するか、そしてそれらの特徴がどのように一人ひとりの違いを作り出すかを探る心理学の一分野です。
人格心理学の有名な理論としてタイプ理論と特性理論があります。タイプ理論は、性格はいくつかのタイプに分けられるというものです。ただ、人間の多様な性格をきっちりといくつかのタイプに分けるというのはほぼ不可能です。そのため、現代ではいくつかの傾向の高さ・低さの組み合わせから性格を記述するという特性理論の考えが主流となっています。そのなかでも、人間の性格は5つの傾向からなると考えるビッグファイブが特に有名です。
感情や人格を理解することの重要性
感情や人格を理解することには以下のようなメリットがあります。
・自己認識・問題解決
自分の感情的な反応や性格傾向を知ることで、自分の欠点を修正しやすくなります。例えば、ストレスの多い状況でよく怒りを感じることに気づいた場合、感情調整のテクニックを学ぼうとすることにつながります。
・共感・関係性の構築
他の人が異なる人格や感情的な反応を持っていることを理解することで、共感する能力を高められるでしょう。例えば、友達が内気な性格であることを知っていれば、社交的な場面で話すのに対して控えめであることをより理解しやすくなります。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒