新入社員メンタル不調にならないための対策とは?ストレスチェックやストレスを感じると現れる症状について紹介します

人事の基礎知識

新入社員を受け入れる体制として、ストレスチェックを検討している企業は多いのではないでしょうか。
新入社員がストレスを感じているのかどうか、きちんと把握しておくことはとても重要です。
早めにストレスに気付くことで、適切な対処を行うことができ、最悪の事態を避けられることも多いです。

そこで今回は、新入社員がメンタル不調にならないための対策について、ストレスチェックやストレスを感じると現れる症状について紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。

新入社員特有のストレス

まずは新入社員が感じてしまうストレスの原因について、チェックしてみましょう。
社会人経験が長くなると、新入社員時代の悩みや神経を使っていたことを忘れてしまいます。
改めて、新入社員の気持ちに寄り添ってみましょう。

新しい職場での人間関係

仕事を覚えたての頃には、合っているのか不安になるため、失敗を防ぐためにも上司や先輩への確認が多くなります。中には人見知りな性格であったり、忙しい上司や先輩に話しかけるのをためらってしまう場面も多いでしょう。

またここ数年のコロナの影響で、リモートワークを採用している企業が増えており、便利になった反面、対面でのコミュニケーションが減ってしまっています。どうしても対面に比べリモートでのやり取りでは、汲み取れない部分が発生してしまい、ミスコミュニケーションも起こりやすいです。

当たり前ですが、新入社員は何も分からない状態に加え、知識がない人だと思われてしまうかもしれない…という不安も抱えています。新入社員の気持ちを再認識しておくといいでしょう。

新しい環境に慣れない

学校を卒業し、社会人になると、今までとは全く違う環境になります。入社に向けて新人研修などがあった場合には、同期の間で交流がある会社もありますが、基本的には知らない人ばかりの慣れない環境に飛び込んでいる状況です。その環境下で仕事を行うため、特にストレスを感じやすく、身体だけでなく心も疲れやすくなっています。休みの日にはそんな疲れを癒したいものの、就活を機に一人暮らしを始めた新入社員の場合には、頼れる人もおらず、うまくオンオフを切り替えられずに過ごしているケースも少なくありません。

仕事が終わったらゆっくり休めているのか、休日には遊びにいったり好きなことができているのかなど、リフレッシュできているのかが重要となります。長時間労働や、休暇を取るときに理由を聞かれるため取りづらいなどの職場環境もストレスの原因となります。

覚えなくてはいけないことが多い

一緒に働く人の名前はもちろんのこと、仕事にかかわる部署や取引先、仕事のマニュアルや電話対応など、新入社員は覚えなくてはいけないことが山ほどあります。覚えることが得意な人であっても、マニュアルがなく臨機応変に対応しなくてはいけないケースも出てくることでしょう。仕事の流れを理解するまでに時間がかかるため、「なんでうまく仕事ができないんだ」「もっとうまくできたはずなのに」と自分の無力さを痛感するタイミングでもあります。失敗をして経験を積んでいくことが大切な時期ではありますが、新入社員自身はキャパオーバーになりやすくなっていることは、先輩社員が覚えておいてきちんと気を配るひつようがあります。

ストレスを感じると現れる症状

ストレスを抱え始めた新入社員には、いくつかの症状を確認することができます。中でも覚えておきたい兆候を3つ紹介します。

【心理的部分】元気がなく疲労感が見てわかる

入社したばかりの頃は、はきはきとした挨拶で元気があった新入社員が、少しずつ顔が暗くなり、どんよりとした雰囲気になり始めます。疲れが蓄積し、上手く切り替えができていない初期段階といえます。とはいえ、そもそも新入社員は初めての社会でストレスを感じやすい状況にあるため、リフレッシュもできず疲労が溜まり続けることが多いのです。疲労を溜めこみ続けてしまうと、更に回復するのに時間がかかり、やがて心身の不調へ繋がってしまう可能性があります。

【身体的部分】睡眠不足や食欲不振

ストレスを抱え始め、うまく発散ができていないと、食欲不振や睡眠不足など健康を維持するのが難しくなり、不調の兆候がみえ始めます。例え仕事で疲労があったとしても、食事と睡眠がしっかりとれていれば、回復に時間はかかりません。しかし、新社会人はオンオフの切り替えがまだうまくないため、緊張の糸がなかなか解けず、気を張り続けてしまう傾向にあります。結果、食事や睡眠が十分に足りておらず、メンタル不調が深刻化していきます。

【行動的部分】遅刻や欠勤で勤怠が乱れる

ストレスを感じている新入社員はだるさを訴え、遅刻や欠勤が目立つようになります。疲労が十分に回復できないと、日常生活にも影響が出てしまうためです。最初は勤怠も乱れず、真面目に出勤していた社員であっても、ストレスからくる不調で疲労が十分に回復できず、遅刻や欠勤の頻度が増えてしまいます。

新入社員にはいつからストレスチェックを実施するのか

ストレスチェックは、年に1回以上実施する必要があります。しかし、時期に指定はなく期間内であればいつでも実施が可能なため、ストレスチェックを行う時期は会社によって異なります。実施時期によって少なからず結果に影響を与えるため、一般的に、ストレスチェックを行う時期として閑散期よりも繁忙期に実施する方が、正確なストレスチェックを図ることができると考えられています。しかし、実際には実施する労働者への負担を加味し、受検率を上げるためにも、繁忙期などを避けている企業が多い傾向にあります。適切な経年比較が難しくなることから、毎年同じ時期に実施していることが多いです。

実施時期に指定が無い点から新入社員が入社から一年後に受検対象となる場合があり、そうなると会社側が不調に気付く前に新入社員がストレスを抱えすぎてしまうということもあるでしょう。事前に気づくためには新入社員を対象として別途ストレスチェックを行うか、ある程度の期間上司が気を配る必要性があります。

ストレスチェックを実施する際の注意点

ストレスチェックを実施する場合には、センシティブな情報となるため、以下のことに注意して行いましょう。

  1. ストレスチェックの強要は行ってはいけない
  2. 人事権を持つ役員等が実施者にならない
  3. 企業と医師、安全衛生委員会など、適切に連携する
  4. 受検した新入社員の個人情報を保護する
  5. ストレスチェックの結果を元に、不利益な扱いをしない

ストレスチェックの実施はあくまで組織に義務付けられており、新入社員を含む労働者に義務化する規定ではありません。そのため、検査自体が負担となる人に無理に受検を促すことは避けましょう。また、人事権を持つ担当者が実施者になることで、新入社員が正直に検査項目に回答できなくなる可能性があります。実施者についても配慮を行うといいでしょう。ストレスチェックの結果を踏まえ、必要であれば職場環境の改善に取り組むなど、ストレスチェックをうまく活用することが望ましいです。

受検を希望する新入社員がいた場合

ストレスチェックは、事業者に義務化されていますが、自ら希望して受けたい時期に受検することも可能です。特に新入社員の場合、自分のストレスがどの程度なのか把握したいケースも少なくありません。受検を希望する新入社員がいた場合には、適切なフローを案内できるようにしておくといいでしょう。

新入社員がメンタル不調にならないための対策

では、新入社員がメンタルの不調を感じないようにするためには、どのような対策ができるのでしょうか。会社でできる取り組みとしての対策を紹介します。

初期段階でストレスマネジメント研修を行う

ストレスを感じ始めた時に、自分で適切な対処ができるようになることが大切です。そのためにも、会社側としては事前にストレスに対する知識を身につける研修を実施し、指導してあげることが有効です。特にストレスマネジメント研修では、ストレスに結びつく睡眠や食事について、回復するためのテクニックを身に付けることが期待できます。新入社員自身がストレスときちんと向き合い、知識を活かせることが重要です。

相談窓口を設ける

新入社員はどうしても周りの目を気にしてしまう傾向にあります。自分ひとりで判断が難しいとき、声を掛けやすい人や相談できる人がいるだけで救われた気持ちになります。自分で心の拠り所を見つけられれば最適ですが、相談できる相手がなかなか見つけられなかったり、ストレスの原因によっては、相談しづらいことも多いでしょう。そんな時のために、社内に限らず、社外にも相談窓口を設けておくとストレスを発散しやすくなるのでおすすめです。

新入社員とコミュニケーションをとる時に気をつける事

新入社員に対して、ストレスをため込んでいないか周りが気付いてあげられることが大切です。しかし、適切なコミュニケーションがとれないと、余計に悪化させてしまうリスクもあります。そこで、ここでは新入社員とコミュニケーションをとる時に気をつける事を紹介します。

威圧的にならず、否定をしないようにする

社会人になりたての新入社員に対して、威圧的な態度を取ったり、否定的な発言を重ねてしまうと、メンタル不調の大きな要因となります。特に、近年学校でも大声で叱責されることが珍しくなっているため、「怒られる」行為に慣れていない社員が多いです。また、伝えたいことをうまく伝えられないケースもあるため、共感や寄り添いを意識して、コミュニケーションを取るようにしましょう。

日頃から密なコミュニケーションをとる

新人社員は何もわからない状況で、大きな不安を抱えて入社をします。そのため、日頃から挨拶を交わしたり、雑談をするなど密にコミュニケーションをとることで、不安を軽減することが期待できます。他愛もないやり取りであっても、普段のコミュニケーションの積み重ねが信頼関係に繋がります。誰に相談すればいいか分からないといった状況も避けられ、相談に対するハードルを下げることができます。また、普段から密なコミュニケーションがとれていれば、新入社員の些細な変化に早い段階で気付くこともできるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、新入社員メンタル不調にならないための対策について、ストレスチェックやストレスを感じると現れる症状について紹介してきました。
遅刻や欠勤、早期離職など最悪の事態を避けるためにも、ストレスチェックをうまく活用してみてはいかがでしょうか。

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