職務特性理論とは

職務特性理論とは、従業員のモチベーションや仕事への満足度、生産性などに仕事の特徴が及ぼす影響を説明する理論です。
能力を活かせる、仕事の結果が他者や社会にインパクトを与えるなどの特徴を持つ仕事に従事している場合、仕事に対して良い態度で挑め、その結果モチベーションが上がると、この理論では考えられています。
ハックマン(Hackman, J.R.)とオールダム(Oldham, G.R.)がこの理論を提唱したのは1976年であり、現在より50年ほど昔の理論ですが、この理論の考え方は現在でも参考にされています。

職務特性がモチベーションを高めるメカニズム

職務特性理論で挙げられている仕事の特徴は、以下の5つです。

 技能多様性:仕事を遂行するうえで多くのスキルを求められること。

       単調な仕事ではない、自身の持つスキルや能力を活かすことにつながる。

 タスク完結性:一連の仕事プロセスの全体像に関与できる程度。

 タスク重要性:仕事の出来栄えが他者に与えるインパクトの程度

 自律性:自分なりの工夫ややり方など、仕事において自由な裁量を持つことができる程度

 フィードバック:仕事成果に関するフィードバックの有無。

5つの特徴のうち、技能多様性やタスク完結性、タスク重要性は自身の仕事を有意義に感じることにつながります。
また、自律性は仕事の結果に対する自身の責任を感じさせ、フィードバックは実際の結果を確認することにつながります。
こういった心理状態を経て、仕事へのモチベーションや満足度を高めたり、欠勤や離職を減らしたりすることにつながります。

なお、上記の特徴を持つ仕事であれば、誰でもモチベーションが高まるというわけではありません。
例えば成長したいという欲求をあまり持っていない従業員の場合、上記の特徴が5つあったとしてもモチベーションはあまり高まらないと考えられます。

職場における職務特性理論の活用

職務特性理論は、従業員のモチベーションを高めるうえで仕事の設計をどのように改善すればよいかといった指針をもたらしてくれるだけではありません。
この理論は従業員の個々のニーズや職業的な成長の欲求を満たすためのプログラムや研修の開発にも利用されています。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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