モデリングとは

モデリングとは、モデルとなる他者の行動を観察して、その行動を真似することで自身も新しい行動を習得したり、不適切な行動を修正したりするプロセスのことです。
モデルとなる他者は身近な人間だけではなく、テレビで見るスポーツ選手や漫画のキャラクターであることもあります。
例えば、テレビでプロ野球選手のバッティングフォームを見て、そのフォームの特徴を自分のフォームに取り入れて練習することがありますが、これもモデリングと言えます。

モデリング実験

モデリング研究で最も有名な心理学者はバンデューラ(Bandura, A.)でしょう。
バンデューラの代表的なモデリング実験は、(A)大人が大きな人形に攻撃している映像と(B)大人が大きな人形に攻撃していない映像を子どもたちに見せるというものです。
その結果、Aの映像を見た子供たちは大きな人形に攻撃的な言動を取ることが示されました。
また、子どもたちに以下の3種類の映像を見せるという実験もあります。
(C)攻撃的な行動(パンチボールを叩く)をするとご褒美をもらえる映像
(D)攻撃的な行動をすると、罰せられる映像
(E)攻撃的な行動をしても、何も起こらない映像
その結果、CとEの映像を見た子どもたちで同じぐらい攻撃的な行動を取ることが分かりました。
多くの場合、新しい行動が習得されるのは、その行動をすることによって得られるものがあるためです。
しかしこの実験の結果より、得られるものがなかったとしてもモデリングで新しい行動を習得する可能性があることが分かりました。
例えば親や兄弟姉妹では何気ない行動が似ているものですが、こういった行動もモデリングによって取り入れられていると考えられます。

モデリングで習得されるもの

多くの大学や研究機関でモデリングに関する研究を行っており、その成果は教育現場での指導法の改善に役立てられています。
しかし、モデリングで習得されるのは単なる行動やスキルだけではありません。

スポーツ選手を例にとると、具体的な打撃フォームだけではなく、そのフォームに至った考えを学ぶことで、行動を支える複雑な考えを理解し、自分のものとして取り入れることもできるでしょう。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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