自己開示とは

好きなものや嫌いなもの、価値観など自分についての情報を他者に伝えることは、自己開示と呼ばれます。
自己開示で他者に共有する情報は様々です。
好きなものや嫌いなものといった表面的な情報から、過去の苦い思い出のように深い情報も含まれます。
他者との関係が親密であるほど、深い情報が共有されるようになります。

自己呈示とは

他者に自身がどのように思われるかに注意しながら、望ましい自己イメージを他者に伝えることです。
自己開示を小学校時代の友達作りでの自己紹介に例えるならば、自己呈示は就職活動の面接での自己紹介と言えるでしょう。
自身が望むイメージを他者に持ってもらうため、共有する情報の内容はもちろん、服装や行動といった非言語的な情報にも注意が払われます。

自己開示と自己呈示の役割

自己開示には以下の2つの役割があります。
・親密な関係の構築…親密な人間関係を構築するには、互いの自己開示が前提となる
・ストレスの軽減…悩みを抱えているようなつらい思いを話すことは、ストレス軽減につな
がる
自己開示するほど「誰かと個人的な情報を共有したい」「親密な関係になりたい」という欲求が満たされ幸福感が高まります。
ただし深い情報を共有しすぎると、「プライバシーを守りたい」という欲求が満たされなくなり、幸福感は下がります。
そのため、自己開示の程度や距離感をはかりながら自己開示することが重要と言えるでしょう。
一方で自己呈示の役割には、以下の3つがあります。
・報酬の獲得と損失の回避…自分にとって利益を得たり、望ましくない結果を回避できる
・自己評価の高揚と維持…他者から良い評価を受けることは、結果として自己評価を高めることにつながる
・アイデンティティの確立…他者に認識してもらった評価を通して、改めて自分らしさを認識できる

このように自己開示と自己呈示にはそれぞれ異なった役割があります。
目的に応じて自己開示と自己呈示を使い分けて、人は自己の情報を他者に共有しているのです。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒

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