アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を理解し、それを適切にコントロールするためのテクニックや方法を指します。怒りは自然な感情であり、自分を守るために必要なときもあります。しかし、攻撃的な方法で怒りを表現したり、怒る頻度が多すぎる場合は問題を引き起こしてしまいます。そこで、怒りを建設的に扱い、健康的な方法で表現するためのスキルとしてアンガーマネジメントが存在するのです。アンガーマネジメントは、最初は犯罪者のための矯正プログラムなどとして活用されていました。しかし現在では、研修テーマとして取り上げられることがあるほど一般化しています。
アンガーマネジメントの3つのテクニック
アンガーマネジメントでは、衝動・思考・行動の3つの観点から怒りをコントロールします。
衝動の観点では、怒りを感じたらまず6秒間は何もせず待ちます。これは、怒りのアドレナリンが分泌されるピークが6秒間と言われているからです。それ以降に行動することで、怒りの衝動のままに行動してしまうことを防ぐことができます。
思考の観点では、自分がどういうときに怒りを感じるかを見直していきます。
怒りを感じる場面をリストアップすると、自分の内面にある「~すべきだ」というルールが見えてくる効果があります。この自分のルールは、絶対に守らないといけないものであるか否かを吟味していきます。もし守るべきルールだとしたら、どうすれば他者にも共有できるか、伝え方を具体的に考えていきます。
そのプロセスにより怒りのままに行動する事態を防ぐことができます。
行動の観点では、自分が怒ることで事態を変えられるもの、変えられないものを分けて考えていきます。
例えば、時間厳守が自分のルールだと仮定しましょう。そして社員全員が受けるべき研修に部下が遅刻したとします。
この場合、自分のルールは他者にも共有できるものです。そのため、怒りの元となった要望「部下にも時間を守ってもらいたい」ことを実現するにはどうするべきか、部下に伝えることで怒りを防ぐことが大切です。
しかし、もし部下が遅刻した原因が他者の事故に巻き込まれたことだとしたら、自分が怒ったところで事態を変えることはできません。この場合は、自分は行動する必要はないと分けて考えます。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒