アサーションとは

アサーションとは自分も相手も尊重したコミュニケーションのことです。
アサーションの観点から、コミュニケーションは以下の3つに分けられます。

・アサーティブ(私はOK。あなたもOK):
自分の気持ちや考えを大事にしつつ、相手のことも配慮したコミュニケーション。お互いの意見が食い違うときは、お互いに歩み寄り妥協点を探す。

・ノンアサーティブ(私はOKではない。あなたはOK):
自分の気持ちや考えは押し殺して、相手だけを尊重したコミュニケーション。自分を後回しにすることは美徳のひとつという考え方から、特に日本では多く見られる。

・アグレッシブ(私はOK。あなたはOKではない):
相手のことは全く考えず、自分の気持ちや考えだけ主張するコミュニケーション。自分の考えは正しいと思い込んでいるため、相手の言い分を聞かないのでトラブルを招きやすい。

アサーションの歴史

アサーションの起源は、心理学者ソルター(Salter, A.)博士が1949年に出版した『条件反射療法』です。本来人間は活動的な生き物であるはずが、幼少期のしつけや社会規範によって抑制的になっているとソルターは考えました。それから10年後、精神科医ウォルピ(Wolpe, J.)は心身の不調者の治療では主張することが不安を和らげるとして、アサーションの重要性を再び取り上げました。そして怒りの感情の表出も含んだ自己主張行動のトレーニング(アサーション・トレーニング)を開発したのです。当時のアサーション・トレーニングはうつ病の患者さんや過呼吸の患者さんなどに行われていました。しかし、アサーティブなコミュニケーションはより建設的な議論につながります。そのため現在では、アサーティブなコミュニケーションスキルは学校教育や企業など幅広く取り入れられています。

代表的なテクニック ~Iメッセージ~

相手に頼み事や注意するときは、「You」ではなく「I」を主語にすると、とげとげしい印象や押しつけ感が薄くなります。例えば、アルバイトに仕事のシフトを増やしてほしい場合、以下になります。

Youメッセージ…(あなたは)来週、もう少しシフトを増やせませんか。

Iメッセージ…(私は)来週、もう少しシフトを増やしてもらえると助かります。

Iメッセージで伝えるとき、先の例の「助かります」のように自分の思いを言葉にすることになります。自分の感情を自認することができ、怒りや衝動に任せた言動を防げるというメリットもIメッセージにはあります。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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