認知行動療法とは
認知行動療法とは、物事の見方や考え方(認知)を変えることで行動や感情の問題を改善させるという心理療法です。例えば、レジで支払いをするときに後の人が自分のほうを見ているとして、「私が遅いからイライラしているんだ…」と考える場合と、「レジの案内を見ているのかもしれない」と考える場合とでは、その時に受けるストレスは異なります。
このように認知行動療法では、ネガティブな考え方を中立的な考え方になるよう少しずつ修正していき、ストレスの軽減を目指します。
認知行動療法の始まり
認知行動療法はアメリカの精神科医ベック(Beck, A. T.)によって始まりました。ベックはうつ病の研究を通して、物事の見方・考え方がうつ病に見られる気分の落ち込みと密接に関係していることを明らかにしました。そして、一定の手続きからなる面接を通して、ネガティブな考え方を現実的なものに修正するという治療をうつ病の患者さんたちに行いました。これが現在の認知行動療法の始まりと考えられています。なお、ベックの行っていた手法は、当時認知療法と呼ばれていました。ここに、行動と気分や感情の関係性にも注目し、適切な形に行動を変容させることを目指す行動療法と合わせて、現代では認知行動療法と総称されています。
認知行動療法の技法の紹介~認知再構成法~
認知行動療法には様々な技法がありますが、代表的なものとして認知再構成法が挙げられます。これは、ネガティブに歪んだ物事の考え方を現実的なものに変えていくアプローチです。考え方を変えていくにあたっては、ワークシートを用いることが多くあります。例えば、上司にミスを叱責された場面を挙げると、以下のようになります。
1 出来事 | 今日も上司に仕事上のミスを指摘された |
2 その時に浮かんだ考え | 自分はいつも役に立たないと思われているに違いない |
3 感情 | 自分はどうしようもない奴だ。100点満点で表現するならば、80点の落ち込み。 |
4 他にどんな考え方ができるか | 上司としての立場上、上司は自分がきちんとチェックできているか確認しているだけだ |
5 他の考え方をしたときの心の変化 | 上司は自分よりも経験があるから、自分のミスに気付いたり、指摘したりするのは当然のことだ。100点満点で表現するならば、30点の落ち込み。 |
ワークシートを使えば物事の考え方を一人でも修正できます。そのため、認知再構成法をはじめ認知行動療法は専門家によるカウンセリング場面だけではなく、書籍を用いたセルフケアを狙って提供されることもあります。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒