エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、仕事や活動などに対する関与、熱意のことです。例えば、活力を持ってイキイキと仕事に打ち込んでいる状態を指します。エンゲージメントが高い状態だと、義務感から仕事をしているのではなく、仕事に対してやりがいや誇りを感じて積極的に仕事に取り組んでいると考えられます。
エンゲージメントの歴史や測定尺度
エンゲージメントの概念は、20世紀後半に心理学者たちによって研究されはじめました。特に、人間の強みや幸福感に焦点を当てるポジティブ心理学の分野で注目されています。
世界的に見てエンゲージメントの代表的な測定尺度は、ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES)です。この尺度では、仕事への活力、熱意、没頭の3つの要素から仕事に対するエンゲージメントを測定します。なお、ここでのスポーツや趣味に没頭した状態はいわゆる「フロー」状態のように短期的なものではなく、より継続的、長期的に没頭している状態を意味します。
エンゲージメントの近接概念~コミットメント~
エンゲージメントに近い概念として、コミットメントがあります。コミットメントとは、特定の組織に対する個人の一体感や心情的な結びつきの強さです。
例えば、エンゲージメントとコミットメントとして以下のような違いがあります。
・対象とする範囲
エンゲージメントでは仕事全般であるのに対して、コミットメントでは組織を対象とします。
・感情的な面
エンゲージメントでは仕事に対するイキイキ感やワクワク感のように、覚醒の程度が高い感情が含まれます。一方、職場が好きでリラックスして仕事している人のように、コミットメントが高くても、エンゲージメントほど感情の覚醒度は高くないこともあり得ます。
エンゲージメントとコミットメントは常に両立する概念ではありません。例えば、生産性は低いけれども、職場でリラックスして働いている人の場合、エンゲージメントは低いけど、コミットメントは高いと言えるでしょう。
文献
Shimazu, A., Schaufeli, W. B., Kosugi, S., et al. (2008). Work engagement in Japan
:Validation of the Japanese version of Utrecht Work Engagement Scale. Applied
Psychology: An International Review, 57(3), 510–523.
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒