欲求階層説とは
欲求階層説とは、人間の欲求は5段階のレベルに分かれており、低いレベルの欲求から段階的に満たされていくことを説明する理論です。
アメリカの心理学者マズロー(Maslow, A.H,)が欲求階層説を提唱したのは1943年であり、いまから100年ほど昔です。
しかし、人間の欲求やモチベーションを理解するうえで現在でも参考にされています。
欲求階層の構造
欲求階層説では、人間の欲求を以下の5つのカテゴリーに分類します。
①生理的欲求…生きていくうえで必要不可欠な基本的な欲求。
(例)食欲や睡眠欲を満たしたい。
②安全欲求…安全を求めたり、不安や脅威から身を守りたいという欲求。
(例)鍵のかかる家で安全に暮らしたい、銀行に預金して経済的に自分を守りたいなど。
③親和欲求…他者とかかわったり、集団に属していたいという欲求。
(例)友人関係を構築したい、職場メンバーから受け入れられたいなど。
④承認欲求…自分で自身を尊重したり、他者から価値ある存在として認められたいという欲求。
(例)何かを成し遂げたい、名声を得たいなど。
⑤自己実現欲求…自分の能力を十全に発揮して、創造的活動をしたいという欲求。
(例)絵を描くことを好む人の場合はより自由に絵を描ける場所を求めるように、自分の本質・理想を実現することを求める

なお、自己実現は非常に高次な欲求であるため、それを達成するのは容易ではありません。
自己実現を達成したと考えられる歴史上の人物として、16代アメリカ大統領リンカーンや、相対性理論を提唱したアインシュタインなどをマズローは取り上げています。
こういった人物の特徴として以下を挙げています。
・現実を的確にとらえ、かつ現実の不確実性に耐えられる
・自分や他者をあるがままに受け入れている
・慣習にとらわれず、自発的に行動している
・創造性や独創性を備えている
欲求階層説の応用
欲求階層説は教育現場やビジネスマネジメントの分野で広く用いられています。
教育現場であれば、学生の欲求を理解することを通して、欲求に応じた支援を行うことで学習効果を高めることができます。
同様に、職場での従業員のモチベーション管理にも役立てられています。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒