今回も人事などの管理部門・管理職者向けに「上司との関係に困った社員のサポートマニュアル」Vol.4として、実際の相談事例を参考にしながら対応例を解説・紹介していきます。
自社に当てはまる例がないか、社内の状況と照らし合わせながら、Vol.1やVol.2、またVol.3もあわせてこちらで紹介した対処方法を参考にしてみてください。
Vol.4 どうすれば成果があがるのか行き詰っており、見通しも立たず、つらい&先々がとても不安
前回は、意見を上司に伝えても、否定ばかりされてしまい自信を失ってしまっているケースを取り上げました。今回は「どうすれば成果があがるのか行き詰っており、見通しも立たず、つらい/先々がとても不安と感じている」ケースを取り上げます。Vol.1〜3と併せて参考にしていただければと思います。
今回の状況については、以下のようなご相談が寄せられます。
※個人情報に配慮し内容は意図が変わらないように少し変えさせていただいております
- 気をつけながら仕事をしているが最近ミスが増えており、どうしていいかわからない
- なかなか仕事をしても成果を挙げられず、先への漠然とした不安を抱えている
- 仕事においてこのままで良いのか、昇進せず過ごしていて未来への不安を抱えているもののどうすれば良いかわからない
これらのケースから受け取れることをそれぞれ詳しくみていきましょう。
ミスを繰り返すことで自信をなくし、さらに判断力が鈍っている
誰でも仕事でミスをするものですが、ミスを繰り返して叱責されたり自信を失うことで、さらに判断力が鈍っているのかと考えられます。
仕事でミスをするとどうしてミスをしたのか振り返り、同じ過ちをしないようにしていき、周囲もそのようにサポートしていくのが大切ですが、強い叱責や人格否定のような言葉かけをされてしまうと、できるはずのことができなくなったり、同じ過ちを繰り返してしまったりします。 そこから負のループのように判断力が鈍っていき、本人としてはなんとかしたいのに、またミスを繰り返してしまい、どうしたら良いかわからなくなっているという状況が考えられるでしょう。
仕事で変化を感じられず漠然とした不安や先々への不安を抱えてしまう
同じ仕事をするのが悪いわけではないのですが、一定期間で評価を受けなかったり、使命感のある仕事を行わなかったりした場合に、仕事をしながら漠然とした不安を感じてしまうという方がいます。
なかなか現状の変化がみられないと漠然とした不安を抱えるだけではなく、周囲の方の昇進や家族の老化などの環境変化も相まって、先々への強い不安を抱えてしまったという方のご相談も見受けられます。
漠然としたどうしたら良いかわからない不安が募ることで、最終的にストレスによる身体的な不調や、抑うつなどの精神的な不調にもつながる恐れも考えられるでしょう。
管理部門・管理職者が社員に対してできること
今回の事例の場合に、管理部門・管理職者が社員に対してできることを紹介します。
- ミスを繰り返す部下がいても責めないようにする
- 仕事だけではなくプライベートについても相談できる窓口を設置する
- キャリアプランについて相談できる機会や学びの機会を設ける
それぞれ解説します。
ミスを繰り返す部下がいても責めないようにする
管理職や管理部門の方としてはミスを繰り返す部下がいると、否定的な感情を持ってしまうという方もいるかもしれません。
しかし、そういった部下がいた場合に感情的に責めないようにしましょう。まずはその部下のメンタルヘルスを心配するのが先です。
叱られることや人格否定のような発言をされるのに恐怖を感じて仕事ができなくなっている可能性や、自分自身に対して否定的になって悩み睡眠不足となり、仕事の集中力が落ちてしまっている可能性も考えられます。
どのような場合でも、まずは部下の方が感じている悩みや不安などの思いを聞く、管理職の方が時間が取れず難しければ、吐き出せる窓口や人事の担当者に思いを吐き出してもらうなどの対応をしましょう。
ミスを繰り返して辛い思いを抱えているのはその社員も同じなので、さらに責めるような発言をしないようにしましょう。
仕事だけではなくプライベートについても相談できる窓口を設置する
仕事に関して相談できる場はあっても、プライベートについても相談できる場というのはあまりないのではないでしょうか。
プライベートまで会社で関わる必要はあるのかと考える方もいるかもしれませんが、任意の窓口で良いので、仕事だけではなくプライベートに関しても相談できる窓口を設けておくと良いでしょう。
仕事を続けていくにはプライベートとのバランスを取ることが大切です。
何か家族のことで悩んでいたり、育児のことで悩んでいたりして、ストレスを抱えて仕事にも影響を及ぼしているかもしれません。その悩みが先々への不安へ繋がっている場合もあります。
無理に聞き出そうとする必要はありませんが、仕事だけではなくプライベートのことも相談できる窓口を設置しておくと良いでしょう。
キャリアプランについて相談できる機会や学びの機会を設ける
最後に社員の方が漠然とした先々への不安を抱えないようにするために、キャリアプランについて相談できる機会や、キャリアアップについて学べるための機会を設けてみましょう。
漠然とした不安はプライベートからくる場合もありますが、仕事においてマンネリを感じてしまう場合にも起こりうると考えられます。
仕事のやりがいを感じてもらうために、自分自身の今後のキャリアについて相談できる場で今の感情を吐き出してもらうと良いでしょう。
また学びの機会では、「今後の仕事においてスキルを活かしてもらうためにもこういった資格取得の道がある」などの具体的な道を知ってもらうと良いです。また難しいかもしれませんが、キャリアアップのために会社が具体的な支援をできるとさらに良いでしょう。
社員が働く中で存在意義を感じたり、やりがいを感じたりしてもらえると、漠然とした不安を先々に感じずに意欲を持って仕事に取り組んでもらえるのではないでしょうか。
まとめ
今回はVol.4として、「どうすれば成果があがるのか行き詰っており、見通しも立たず、つらい&先々がとても不安」について取り上げました。
Vol1からVol.4まで、人事などの管理部門・管理職者向けに、「上司との関係に困った社員のサポートマニュアル」として、実際の相談事例を参考にしながら解説してきました。 ぜひここまでの内容を参考にして自社の社員との関わりに活かしていただければ幸いです。