ネガティビティ・バイアスとは
ネガティビティ・バイアスとは、ネガティブな出来事や感情などのほうがポジティブなものよりも人間の思考や判断などに大きな影響を与えることを意味します。仕事が上手くいって気分が良かったのに、同僚から言われた嫌味が引っかかって結局その日の夜はモヤモヤした、というのもネガティビティ・バイアスの典型例と言えるでしょう。
このように、人間はネガティブな経験に対してより多くの注意を払い、記憶し、より強く影響を受けます。
ネガティビティ・バイアスはなぜ起こるのか
ネガティビティ・バイアスの原因として様々な理論が考えられています。
・進化論
進化心理学によると、ネガティビティ・バイアスは人間の先祖が生き残るために発展したと言われています。人間が原始的な生活をしていたころ、危険や脅威に注意を払うことは生き残るうえで極めて重要でした。例えば、オオカミやイノシシのような危険な生物の足跡や毒や棘のある植生を避けなければ、安全に生きていけません。こういった危険に特に注意を払うように脳が進化してきたため、現代でもネガティブな出来事により多くの注意が払われるのです。
・脳科学
そもそも、人間の脳はネガティブな経験に対してより強く反応するように作られていると指摘されています。例えば、批判されたときのほうが褒められたときよりも強い感情が生じるのは、脳がネガティブなフィードバックに重きを置くからです。これは、ネガティブな情報が自身に害を及ぼさないようにするうえで、より多くの処理が必要とされるためであると考えられています。
・確率論
多くの場合、ネガティブな事象は出現頻度が少ないです。だからこそ、危険を見逃さないように大きな注意が向けられることになります。
ネガティビティ・バイアスのコントロール方法
ネガティビティ・バイアスをコントロールする方法の一例として、以下があります。
・ポジティブな面に焦点を当てる
上手くいったことを思い出してみるなど、自分の経験や成果についてポジティブに考えることで視点のバランスを取ります。
・感謝日記
感謝日記とは、その日の出来事のうち感謝したことや嬉しかったことなどを日記として記録することです。これは、ポジティブな経験をより意識的に思い出させるのに役立ちます。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒