プレゼンティーズム
プレゼンティーズムとは「present:出席している」の通り、職場に出勤しているけれども健康上の問題やストレスによってパフォーマンスが低下している状態を指します。例えば、3月に花粉症で目が痛かったり鼻水がたくさん出る状態で働いていても、仕事に集中できないため十分な成果をあげられません。これはプレゼンティーズムの一例です。
プレゼンティーズムは、見た目や数値上は出勤しているため問題が見えにくいという特徴があります。しかし実際には作業効率が低下しているため、長期的にみると大きな悪影響を及ぼします。アメリカの研究ですが、労働生産性の損失に占めるプレゼンティーズムの割合は30~60%であり最大のコストであるとされています。これは、プレゼンティーズムは個人の健康問題に留まらず、周囲へ及ぼす影響も大きいためです。
アブセンティーズム
アブセンティーズムとは「absent:欠席している」の通り、健康上の問題やストレスが原因で欠勤している状態を指します。例えば、重い風邪やインフルエンザにかかって欠勤する場合がこれに該当します。「欠勤」という目や数値で見える形であるため、プレゼンティーズムと異なりアブセンティーズムは問題を把握しやすいです。
プレゼンティーズムとアブセンティーズムを改善するには
プレゼンティーズムとアブセンティーズムを改善するうえで参考になるモデルとして、健康経営オフィスの効果モデルがあります。このモデルによると、オフィス環境を整備することで、労働者は健康を促進する働き方・行動をするようになります。その結果、労働者の健康を保持・増進できるため、プレゼンティーズムとアブセンティーズムが低下すると考えられています。このモデルは2015年時点で発表されたモデルのため、コロナ禍に普及したリモートワークについては考慮されていません。しかし、心身の健康と高いパフォーマンスとの関連を考えるうえでの一助となると考えられます。

文献
経済産業省(2015). 平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業 健康経営に貢献するオフ
ィス環境の調査事業 健康経営オフィスレポート 従業員がイキイキと働けるオフィス
環境の普及に向けて
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf