囚人のジレンマとは

囚人のジレンマは、ゲーム理論という数学理論における代表的なモデルのひとつです。相手の選択によって自分の選択結果が変わってくる状況で、どのような意思決定を行えば最善の結果を得られるのか探求します。

囚人のジレンマのストーリー

二人で罪を犯したA(自分)とB(相手)がいます。ただ、警察は決定的な証拠をつかんでいません。そのため、警察は別々に尋問している自分と相手に取引を提案してきました。

・もし二人ともが黙秘した場合、両方に短い刑期を与える

・ただ一方は黙秘したが、もう一方が自白した場合、自白したほうは釈放され、黙っていたほうには長い刑期を与える

・二人とも自白した場合、両方に中程度の刑期を与える

これを表にまとめると、以下のようになります。

 相手が自白する相手は自白しない
自分が自白する自分も相手も懲役10年自分は無罪、相手は懲役20年
自分は自白しない自分は懲役20年、相手は無罪自分も相手も懲役5年

両方が黙秘する、つまりお互いに協力するのが、全体的に見ると最も良い結果です。しかし、相手の選択が分からない状況で自分の行動を決定しなければなりません。もし、自分は黙秘したけど相手が自白する、つまり自分が相手に裏切られたら、自分だけ最悪の結果になってしまいます。このような事態を避けようとして自分も相手も自白という裏切りを選択してしまうと、自分も相手も悪い結果になってしまいます。相手の選択が分からない以上、どう自分が動けば最善なのか分からず、ジレンマに陥るのです。

囚人のジレンマの応用

囚人のジレンマは、信頼と協力に関する様々な状況を理解するのに役立ちます。

例えば、新型コロナウィルスが流行した当初はマスク不足に陥りましたが、この状況も囚人のジレンマを用いて考えることができます。

 周囲が買い占める周囲は買い占めない
自分が買い占めるマスク不足が深刻になり、コロナが長引く。自分も周囲もコロナにかかるリスクがある。マスク不足が起きてコロナが長引く。自分だけはマスクがあるから安全だが、周囲はコロナにかかるリスクがある。
自分は買わないマスク不足が起きるため、コロナが長引く。しかも自分はマスクがないから、自分だけコロナにかかるリスクが大きい。普段通りマスクを購入できるから、マスク不足は起きない。そのため、そこまでコロナは流行しない。

ただ、人間の行動を考える上で考慮すべきものは自身の利益だけではありません。
他者の利益や感情、信頼なども考慮すべきであり、最善の行動を決めることは困難です。
あくまでも囚人のジレンマは人間行動を理解するためのツールのひとつであり、限界もあることを理解しておく必要があります。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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