漸進的筋弛緩法とは

筋肉を順番に緊張させ、その後リラックスさせることで体全体の緊張を解消して心身をリラックスさせる技法が、漸進的筋弛緩法と呼ばれるものです。
いきなりリラックスするのは難しいものです。しかし、筋肉に力を入れてから、一気に力を抜けば容易に脱力状態を作ることができます。
漸進的筋弛緩法は1929年にアメリカの医師ジェイコブソン(Jacobson, E.)によって開発されました。
骨格筋の緊張を緩めることが心身の病気を改善させたり予防したりすることにつながる、というジェイコブソンの考えが、漸進的筋弛緩法の元になっています。

漸進的筋弛緩法の手順

漸進的筋弛緩法では筋肉に力を入れた後の脱力感に意識を向けます。
リラックスした状態になれるよう、ベルトや時計など体を締め付けるものは外すのが望ましいです。

椅子に座ったり、寝そべったりなどリラックスした姿勢になったら、以下の順に力を入れたり、脱力したりしていきます。

①両手・腕…(例)手をまっすぐに伸ばして握りこぶしを作り、その後一気に脱力

②顔…(例)顔をしわくちゃにさせて、その後一気に力を抜く

③胸・背中・腹部…(例)大きく息を吸ってから呼吸を止め、その後息を吐いて力を抜く

④お尻・足…(例)お尻に力を入れ、その後一気に力を抜く

力を入れた後の脱力感が大事なため、力を入れる強さは全力である必要はありません。
60~70%ぐらいの力で十分とされています。5秒間力を入れ、一気に力を抜いて15秒ぐらい脱力状態に身を任せる流れで行われていきます。

漸進的筋弛緩法の効果

漸進的筋弛緩法の効果として、以下が期待されます。

ストレスの軽減:

筋肉の緊張を解消することでストレスを軽減し、全体的なリラックス感を得る

集中力の向上:

リラックス状態を作り出すことで、集中力が高まり、学業やスポーツのパフォーマンスが向上する

睡眠の改善:

筋肉を緩めることで、心身がリラックスし、安らかな深い眠りにつくことができる

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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