心理的安全性とは
心理的安全性とは、どんな提案や質問、相談をしても批判されたり、恥をかいたりする心配をしなくてよいという状態のことです。心理的安全性があると、ありのままでいることができるため議論を活発にできる、互いにサポートしたりされたりしやすいといった健全な組織が生まれます。
心理的安全性のはじまり
心理的安全性は、ハーバードビジネススクール教授のエドモンドソン(Edmondson, A. C.)教授によって提唱された概念です。
彼女が病院で起こるミスとチームワークの研究をしていたときのことです。チームワークが良いほどミスが少ないという仮説を立てていましたが、チームワークが良いほどエラーが多く報告されるという結果が得られました。この結果から「エラーを報告しても安全だと思えるからではないか」という発想を彼女は得ました。そしてその後の追跡調査の中から心理的安全性の概念が生まれたのです。
心理的安全性の高い組織とぬるま湯組織の違い
仕事における不安が少ない点では、心理的安全性の高い組織とコンフォートゾーン、つまりぬるま湯組織は似ています。しかし、ぬるま湯組織はメンバーが現状の安定した状態を心地よいと感じている組織であり、心理的安全性の高い組織とは全く異なるものです。
例えば、両者には以下の違いがあります。
・コミュニケーション
心理的安全性の高い組織では、自由に意見を発言できます。それまでの会議での発言に賛同的な物だけではなく、新しい意見や反対意見も尊重されます。
ぬるま湯組織では、現状維持が重視されるため、新しい考えや意見は歓迎されません。
・ミスの捉え方
心理的安全性の高い組織では、ミスは悪いものではなく学びの機会と捉えられ、今後の改善が奨励されます。
ぬるま湯組織では、ミスはそのリスクを過小評価されて見逃されたり、担当者のみに責任が負わせて解決を図るなどの結果が起こります。
・リスクへの態度
心理的安全性の高い組織では、リスクを伴う新しい挑戦も奨励されます。
ぬるま湯組織では、安定性を重視するためリスクを取ることを避けようとします。
文献
Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams.
Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒