レジリエンスとは
レジリエンスとは、個人が困難や逆境に直面したときにそれを乗り越えて適応していくしなやかな強さを意味しています。
ストレスと同様に、レジリエンスも元々は物理的な意味を持つ言葉です。心をボールに例えると、ストレスという圧力が加わるとボールが凹みます。でもストレスがなくなると、ボールは元に戻ります。このしなやかな強さ、弾力性がレジリエンスです。
レジリエンスを構成する概念
レジリエンスには、個人の能力とする立場から、個人を取り巻く環境も含めて考える立場など様々な考え方があります。そのなかで主流な考え方のひとつに、生まれつきの資質的なレジリエンスと、成長や訓練などによって身に付けることのできる獲得的なレジリエンスがあるというものがあります。
資質的なレジリエンスとして、以下があります。
・楽観性
・感情のコントロール能力
・行動力(ストレスに立ち向かうための目標を立て、それを達成しようと取り組むこと)
・コミュニケーション能力
獲得的なレジリエンスとして、以下があります。
・問題解決志向(問題解決に積極的に取り組もうとすること)
・自分の考え方や性格、能力などの理解
・他者の感情・考えの理解
レジリエンスの歴史
レジリエンスが日本の心理学領域で広く研究されたのは2010年ぐらいですが、実はレジリエンスの研究は1950年代前後には始まっていました。「親が病気を患っている、家庭が貧しい、などのリスク環境であっても上手く適応して育つことができた子どもたちがいる。その子どもたちにはどんな能力があるのだろうか」という疑問からレジリエンス研究はスタートしたのです。
最初は「傷つきにくい」子どもを対象に「レジリエントな」子どもがもつ特徴は何かということが調べられました。その後、レジリエントな状態は人と環境との相互作用の結果もたらされたものではないか、個人がダメージから立ち直るにあたってどのような経験があったのかなど、個人の外の要因にも目を向けられるようになったのです。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒