2種類のウェルビーイング

政府は2021年の成長戦略実行計画で、「国民がwell-beingを実感できる社会の実現を目指す」と明文化しました。
いまやウェルビーイングは企業が従業員に提供すべきもののひとつと言えるでしょう。
ウェルビーイングの主流な考え方に、ヘドニック・ウェルビーイングとユーダイモニック・ウェルビーイングがあります。

ヘドニック・ウェルビーイングとユーダイモニック・ウェルビーイングとは

「ヘドニック」は、自分が欲しいものを手に入れたときに湧き上がる快楽感情を意味する「ヘドニア」を語源とする言葉です。
このことから、ヘドニック・ウェルビーイングとは「今、ここで感じる幸せ」と表現されます。
美味しい食事を食べると嬉しいものですが、これはヘドニック・ウェルビーイングです。


一方、ユーダイモニック・ウェルビーイングは長期的なウェルビーイングを意味します。
「ユーダイモニック」は、ギリシャ哲学者アリストテレスのユーダイモニア理論を語源とします。
「自分の能力を発揮し、自身がどうありたいかという自己実現欲求が満たされることによって幸福を手に入れられること」、これがユーダイモニック・ウェルビーイングです。
チームで協力しあって大きなプロジェクトを成し遂げたときに喜びを感じると思いますが、これはユーダイモニック・ウェルビーイングと言えます。

どちらのウェルビーイングも大切

仕事におけるウェルビーイングと言えば、「やりがい」「貢献感」などをイメージされる方も多いかもしれません。
これらはユーダイモニック・ウェルビーイングに含まれるものです。
しかし、だからといってヘドニック・ウェルビーイングを無視してよいわけではありません。
例えばお昼休憩に食事を楽しむことは、午後の仕事を頑張るうえで大切なことです。
しかし、過剰な仕事量のために満足な昼休憩を取れないとしたら、ウェルビーイングが高い状態で働いているとは言えないと思います。
企業は「今の従業員のウェルビーイング」と「長期的に見た従業員のウェルビーイング」の両方を考慮しなければならないでしょう。

文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒
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