ウェルビーイングとは
ウェルビーイングという言葉は、1948年にWHOの「健康」の定義の中で取り上げられ、注目を集めるようになりました。
ウェルビーイング(Well-being)はWell(良い)とbeing(状態)を指す2つの単語から作られており、本来の意味合いを端的に表現しています。
ウェルビーイングの定義
学術的な観点で言うと、ウェルビーイングの定義には様々なものがありますが、最も代表的なものの一つが、WHOによるウェルビーイングの定義でしょう。
日本WHO協会によって訳された世界保健機関憲章の前文を参考にすると、以下がWHOの定義するウェルビーイングになります。
“ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、社会的に、すべてが 満たされた状態にあること”
引用:公益社団法人日本WHO協会「世界保健機関(WHO)憲章とは」
関連知識
ウェルビーイングは様々な観点から捉えることができますが、心理学で最も代表的なウェルビーイングの理論に、アメリカの心理学者、セリグマン(M.Seligman)のPERMAがあります。
世界レベルでウェルビーイング研究を牽引しているセリグマンによると、ウェルビーイングは以下の5つから構成されています。
Positive emotion(ポジティブ感情)…楽しい、面白い、感動するなど
Engagement(没頭)…仕事やスポーツ、趣味などに没頭する
Relationship(人間関係)…人とのつながりを大切にして楽しむ
Meaning(意味・意義)…自分が生きる意味や目的を自覚する
Accomplishment(達成)…自分が立てた目標を達成する
5つの頭文字を取って、PERMAと呼ばれています。
この5つ全てを同時に満たすことは、なかなかできません。
しかし、1つ2つであれば日常生活の行動でも当てはまるものが多くあります。どれを大事するかは人それぞれだと言えます。以前は「達成」が大切だったけど、今は「人間関係」が一番大事、といったように、同じ人の中でも優先順位は変わるかもしれません。
ウェルビーイングは、「幸せ」と言い換えることもできると思いますが、セリグマンの理論から、私たちが幸せになる条件は、共通点はありながらも人によってちがうこと、さらには、同じ人の中でも変化していくものであると考えることも、私たちが自分の幸せを高める上で大切なことだと言えます。
複雑かつ変化の激しい今日、幸せの要素は変化する、必ずしもそれら要素が満たされる必要はなく、むしろそれらを満たす過程に幸せを見出すことができるという新しい発想が、今後のウェルビーイング論として求められています(参考:プリズム理論-ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社開発)。
文責:胡 綾及 (クリニカルリサーチ) 心理学博士
大学院でパーソナリティ心理学を専門として博士号を取得後、当社参画
広島大学大学院博士後期課程卒