今回も人事などの管理部門・管理職者向けに「上司との関係に困った社員のサポートマニュアル」Vol.5として、実際の相談事例を参考にしながら対応例を解説・紹介していきます。
自社に当てはまる例がないか、社内の状況と照らし合わせながら、Vol.1やVol.2、またVol.3やVol.4もあわせてこちらで紹介した対処方法を参考にしてみてください。
Vol.5 どうしても合わない同僚がおり、どのように対処してよいかわからず苦しい
前回は、意見を上司に伝えても、否定ばかりされてしまい自信を失ってしまっているケースを取り上げました。今回は「どうしても合わない同僚がおり、どのように対処してよいかわからず苦しい」ケースを取り上げます。Vol.1〜4と併せて参考にしていただければと思います。
今回の状況については、以下のようなご相談が寄せられます。
※個人情報に配慮し内容は意図が変わらないように少し変えさせていただいております
- 職場で苦手な人がおり、どう接すればよいかわからない
- 合わない人がいるが同じ部署で仕事をしなければならないためストレスを感じている
- 苦手な人がおり、相手に苦手と感じているのが伝わらないように意識しているものの、うまくできているかわからない、また疲労を感じている
これらのケースから受け取れることをそれぞれ詳しくみていきましょう。
苦手な人に意識を取られて仕事に集中できなくなっている可能性がある
職場に苦手な人や合わないと感じる人がいると、その人とあまり関わらないようにするよう心がけたり、その方に対してイライラする気持ちを抱えたりして、仕事に集中できなくなっている可能性があります。
職場における一番の悩みが合わない人の存在となってしまい、仕事に集中してほしいのに、「合わない人を回避するにはどうすればよいか」「あの人の存在にイライラする」のような感情を抱えてしまいやすいです。
この思いが蓄積していくと退職理由にもつながる恐れがあるため、早く対処法を考える必要があるでしょう。
実際に過去の厚生労働省の調査では、退職理由に「人間関係がうまくいかなかったから」を理由としている人が約13〜20%ほどいることがわかっています。
参照:厚生労働省「性、第5回の就業形態、第6回の仕事の有無・就業形態別にみた退職理由(複数回答)」
合わない人がいることで精神的な疲労が蓄積している
合わない人へ気を遣いストレスを抱えたり、悩みを抱えたりしていくと、精神的な疲労が蓄積していきます。
なかなか抱えている感情を吐き出す、または発散するのが苦手な方の場合、ずっと悩み続けてしまいやすいため、精神的な不調へと繋がっていく可能性もあります。
また、例えば「AさんがBさんとは合わないと感じている」としても、Aさんがそのように感じていることを周囲の人が理解していないケースも少なくありません。
その場合周囲の方もAさんを気にかけたり配慮したりできないため、1人で辛い思いを抱えざるを得ないのでしょう。
管理部門・管理職者が社員に対してできること
今回の事例の場合に、管理部門・管理職者が社員に対してできることを紹介します。
- 仕事の内容だけではなく人間関係について打ち明けてもらえるようにする
- 「合わない人がいる」と相談された時はできるだけ配慮する
- 個人の特性や性格を理解した上で配属を検討する
それぞれ解説します。
仕事の内容だけではなく人間関係について打ち明けてもらえるようにする
社員の意見を聞いたり話を聞いたりする場を設けるのは大切ですが、なかなか職場内の人間関係や個人の思いについては聞けていないという管理部門の方は多いのではないでしょうか。職場内の方へ対する「合わない」という感情は吐き出しにくいと感じている方もいるため、できるだけ直接ではなく、部署外の相談窓口などを設けてみるのもよいでしょう。
その内容が間接的に管理職の方へ伝わるようになっていれば、今後の対策を立てることも可能な上、「合わない」と感じて悩んでいる部下がいることも把握できます。
「合わない人がいる」と相談された時はできるだけ配慮する
もし相談窓口経由などで「合わない人がいる」と感じている社員を把握した際や、実際に部下に相談された際は、できるだけ何らかの配慮をしてあげるとよいでしょう。
例えば近かった席を遠くにする、違う部署へどちらかを相談の上異動させる、など可能な範囲で配慮できると良いです。
もしすぐに対応が難しい場合は、相談してきた部下へその旨を伝え、可能なことはないか検討してみるため待っていてほしいと親身になるようにしましょう。
自身の思いを受け止めてもらえていると部下は感じられ、抱えていた辛さや悩みも少しは解消されるかもしれません。
個人の特性や性格を理解した上で配属を検討する
最後に個人の特性や性格を理解した上で配属を検討するようにするのが大切です。
これはいきなり難しいと感じる管理部門・管理職の方が多いかもしれません。しかし最近では適性検査だけではなくMBTIなど、さまざまな方法で個人の特性を測ることが可能になっています。
事前の入社時に可能であれば特性を把握できるように努力するか、難しければ入社後の途中からアイスブレイクのような時間を設けて徐々に特性や性格を把握していくと良いかもしれません。
個々の特性から、「合わない」「苦手」と感じる方が出てくる可能性を見極めることも可能です。
また、合わない人がいると相談された時に、どんな部分が合わないと感じるのか深掘りすることで、次の異動などの配慮をする際の参考にできるでしょう。
まとめ
今回はVol.5として、「どうしても合わない同僚がおり、どのように対処してよいかわからず苦しい」について取り上げました。
Vol1からVol.5まで、人事などの管理部門・管理職者向けに、「上司との関係に困った社員のサポートマニュアル」として、実際の相談事例を参考にしながら解説してきました。
ぜひここまでの内容を参考にして、自社の社員との関わりに活かしていただければ幸いです。